俺のAGEに対するスタンスとして。
1.ひとくちに小学生向けといっても、小学校1〜3年生と4〜6年生とでは趣味嗜好はだいぶ異なってくる。なので、「こんなの小学生だってほしくねえよ」と言う前に、まずその「小学生」とは何歳から何歳までを指して言うのか、ということをあらかじめ想定してから突っ込んだほうがよりよい批判ができると思う。ちなみに俺は富野由悠季監督の言う「子供には難しい話でもきっとどこかで理解しているはず」という姿勢には否定的。個人的な理由ではあるが、自分が10歳未満だった頃の宇宙世紀ガンダム(時期的には逆シャアからVくらい)は難しすぎてつまらないと思ったし、SDのほうがその頃の俺にとっては「ガンダム」であったから。もちろん、年をとった今では宇宙世紀作品が偉大な作品だというのはわかっているのだけど、「そういう子供もいた」という事を理解してくれると嬉しい。
2.日野晃博氏がこの作品中でどこまでの権限を持っているのかはハッキリしないので、自分が気に入らないものを何でもかんでも日野氏のせいにしてもあまり得るものはない。少なくとも日野氏は種における両澤千晶のように、コネを使ってムリに強権を発動させているわけではない(今現在情報が出ている限りにおいては)。そもそもAGEはゲームからスタートした企画なので、まだ発売されていないゲーム版AGEを実際に見てみないことには、最終的な評価はくだしようがない。「アニメはアニメで単体でまとめるべきだ」という意見ももちろんあると思うが、「Ζにおけるジャミトフの真の野望」「ΖΖにおける、グレミー・トトの出自と、彼が反乱を起こした根拠が『血の力』である理由」「0083の、シーマを取り巻く過去と裏切りの背景」「ガンダムWにおける、それぞれのパイロットが戦いに赴く理由とそのきっかけ」といった重要設定が、ドラマCDや小説などに丸投げされてきたことはシリーズでは珍しいことではない。なので、アニメであえて説明を端折った部分が、ゲームで語られる可能性は低くはない。
3.ただし、これまでの経験から言って、レベルファイブは「熱血」「ツンデレ」といった、テンプレートな属性の詰め合わせとしての「キャラクター」は作れても、喜怒哀楽や様々な矛盾、葛藤を内包した「人間」を描写するのは苦手。なので、高度な人間ドラマを期待して見るとおそらくガッカリすることになる。なので俺はそこに期待はしない。
4.可能な限り好意的に解釈する。「00」などはこき下ろそうとすればどこまでもゴミカス扱いできるが、逆にあの作品世界にはまり込むことが出来ればたいへん面白い作品である。AGEもあえて「新機軸」を打ち出している以上、そういう傾向のタイトルである可能性が高い。もちろん、受け手がどんな態度であろうと楽しませることができるのが真の名作だという意見はあってしかるべきだが、世の中そういう志向で作られているタイトルは、実はそう多くはない。
5.明らかになっていない設定について、既存の作品のテンプレートをムリに当てはめない。少なくとも、AGEにおける連邦軍の組織体系は、一年戦争時のそれとはまったく違う。なので、連邦のMSの性能やUEとの戦い方について、既存作品のノリでツッコミを入れるのは、あまり意味が無い。とは言っても、俺もそんなに引き出しがあるわけじゃないので、アナザー含め色々なガンダム作品の設定とAGEのそれを比較して見るという徒労をやっているのだけど。
 
まぁ、そんなかんじです。

以下ネタバレ感想

機動戦士ガンダムAGE 第4話 「白い狼」

おお? ウルフさんが意外とまともでビックリ。まぁ、沈着冷静で優秀な人物を描写しようとして毒にも薬にもならない空気キャラを量産してしまうのがレベルファイブの悪い癖なので、まだまだ油断は禁物なのだけど。しかしグースカ寝てる内に発艦してて、艦長も変わってました、当のパイロットはその辺の事情さっぱり知りません、っていうのはさすがに軍としてどうなのだろう。なにぶん緊急時だったので連絡が行き届いてない(加えて艦長は徹底した秘密主義)ってことなんだろうけど、ちょっと苦しいんでないかなぁ。普通緊急発進があればたたき起こすだろうし。俺の解釈ではAGEの連邦軍はVガン時代なみに腐敗していると考えているんだけどね。艦長はガンダムにしか興味がないらしく、ウルフさんに対してはたいへん投げやりな辞令を出していたので、彼のことはわりとどうでもいいのだろう。かわいそうなウルフさん。
敵がステルス戦艦、っていうのは地味ながら好設定か。種のミラコロや00の光学迷彩と同じようなもんだけど、「通信はできるが遠距離狙撃はできない」というUCとは異なるシチュエーションを描く上では効果的ではあるな。使い所を誤ると話が単調になるから両刃の剣ではあるが。そして案の定単調にするんだろうなぁ……。
エミリー、ここへ来てアピール具合がすごい。シャクティみたいな事言ってるw こういう人物描写の積み重ねができれば少しは面白くなるんだけど、一話ごとに人物の性格がリセットされるのがレベルファイブ! きっと何の葛藤もなくいつの間にか戦いを肯定し始めるだろうなw
ジェノアスカスタムがドッズライフルを使ったことについて、「最初からAGEビルダーを量産していれば……」的なツッコミが散見されるが、それは「ルウム戦役の頃にGMがあったら……」というようなもので、少しズレた意見じゃないかなと思う。まだまだ先を見てみないことにはわからないけど、あれが普及しはじめるにはまだまだ時間がかかると見ていいんじゃないかな。できたばっかの装置だし。

第5話「魔少年」

ネタバレ:エミリーがかわいい
今日も堅実にシャクティになりつつあるエミリー。富野監督だったら次回辺りで錯乱して花の種を植え始めることだろう。まぁ、艦長にネタバラシされてもわりと落ち着いていたし、いくら何でも死神化することは無いだろうけどさ。セイラさんに似た顔とフラウ・ボゥに似た設定を持つ彼女だが、エミリーは別にUEの襲撃で家族を失ったわけではないので、その辺でどうしてもフリットと意見がすれ違ってしまうのだろう。その辺の葛藤をドラマに持ってこようとしているスタッフの意図は読み取れる(逆に言えば、それ以外にドラマらしいドラマは今のところ見当たらないのだが)が、果たしてうまくいくかどうか。
そして今回もいいキャラしているウルフさん。フリットがおとなしいぶん、彼のほうが主人公っぽいものの、やっぱり艦長にはシカトされているのが彼の悲劇か。
一方の艦長、そのうちスペシャルズみたいな組織作ってクーデター起こすなこりゃ。まぁ、背景にあるのはそのまんまダンボール戦機の八神さんなんだけど、第二部のボスは艦長かもしらん。艦長室のカギをかけ忘れたり、自分の目的をベラベラ喋っちゃってたりしたことであちこちから突っ込まれているけど、そもそも彼は前艦長を拘束しているところをエミリーに目撃されているんだよな。策謀家に見えて脇の甘い男(例:ギレン)のようで、おそらくそれが彼にとっての命取りになるんだろう。
デ……なんだっけ? 覚えにくい名前の彼はおそらくユリンの弟。レベルファイブらしいテンプレ的な強化人間かと思ったら、どっちかといえばイノベイドっぽいなこいつら。EDENがUEとどういう関係にあるのかはまだ不明だが、彼がガフランを壊していることについてのお咎めがないところを見るに、UEそのものというよりは、間接的にUEを利用する立場の連中だと思われる。適当に争わせておいて漁夫の利を得る腹づもりなのだろう。当初はUEをけしかけて戦争による混乱状態をつくり、それを利用して一気に支配を広げる予定だった。手段としてはジャミトフのようなものだ。ところが連邦軍がなかなかやる気を見せず、戦局が膠着したまま14年も経過してしまう。そこでEDENはユリンや彼のようなニュータイプ(仮)を作りつつ戦力をととのえ、ガンダムが完成して均衡が敗れたタイミングを狙って動き出した、というところなのではないだろうか。本来人里に現れるはずのないUEがフリットの故郷を滅ぼしたのも、彼にガンダムを完成させるためだったのだ……! 外れてたら恥ずかしいけど。
どこの馬の骨かも知らないガキが勝手にガンダムを動かしちゃってるけどいいの? っていうツッコミがありそうだけど、むしろこういう展開があってこそのガンダムなのでまったく問題ありません! 無断出撃はガンダムの華なのだ。特にΖなんてロザミィもサラも同じようなことやってMS強奪してるしな。とくに、フリットガンダムのことを母の形見だと思ってはいても、重要機密だというところまでは考えていないだろうし。バルガス爺さんくらいは警戒していても良かったんじゃないかと思ったが、あの人は軍に協力する立場ではあっても軍人ではないようだし。この件が艦長にバレたら問題になりそうだけど、たぶん忘れられそうな気がする*1
ガンダペディアの解説から考えるに、ジェノアスって純粋な戦闘用MSと言うよりは汎用作業型MSを流用した機体っぽい。長い戦争の後ようやく地球連邦が結成されて、という世界観なので、GMというよりはGガンのブッシみたいな立場のMSなんだろう。デスペラードに比べれば運動力はあるけど、という程度なんじゃないかな。そりゃ弱いはずだわ。むしろそんなのでしっかり戦ってるウルフさんがすごいと言うべきなのか。(AGEの連邦軍はUEと本気で戦うつもりがまるで無く、とりあえずのポーズとして戦力を配備してるだけなんじゃないかと俺は解釈してます)

*1:追記:考えてみれば、この連邦軍にとって仮想敵となりうるのは【正体不明の宇宙人】だけなんだよな。連邦発足以来戦争らしい戦争を経験していないようだから、同じ地球人の姿形をしていれば、ほぼ無条件に信じちゃうのかもしれない。逆シャアでもシャアの口車にまんまと乗せられた連邦高官が、「これで我々の敵は本物の宇宙人だけですな。ガッハッハ」とか言ってたし。艦長以外のディーヴァ乗員は実践を経験していないようだし、現場の最前線レベルにおいてはそういう認識が持たれていないのかも。だとすれば、エミリーたちがブリッジをウロウロしても特に叱られる様子もないのもある程度は納得が行く。