今回の動画は元の総評に大幅な改変が加えられている。加筆された部分もあるが、どういう意図なのかカットされた部分も多く、もともとのニュアンスがかなり変わっていて「どういう根拠に基づいてクソゲーと判断したのか」が曖昧になってしまっている。誤解を与える改変も多いため、動画を見たあとは原文を読んでおくことを強くおすすめする
2011年度の動画は動画としてのクオリティは高いのだが、改悪も目立つ。あらぬ誤解を抱いたままでは、KOTYの魅力も半減してしまう。そこで、特にひどい改変の見られた「亡霊」と「Pia4」について、筆者にわかる限りの補足をここで述べさせていただきたい。もちろん、原文とKOTYWikiの個別記事を読めばそれで十分なのだが、俺自身の見解を含めた上で、ということで。
なお、筆者は動画に関してはアンチではない。むしろ、このような楽しい動画を作ってくれる動画主を心から尊敬している。だからこそ、おそらく良かれと思ってであろうが、余計な改変を加えたためにKOTYの魅力が損なわれてしまっていることは残念でならない。

亡霊

○「アリアハン周辺にさまようよろい」について

これは正確な表現ではない。原文を読んでいただければわかるが、シナリオ1・2に限って言えば、「非常にバランスが悪いものの、遊べなくはない」といったレベルである。もちろん商品としては大きな問題なのだが、それ自体が決定的な問題点になっているわけではない。問題になっているのは終盤、とくにシナリオ3以降の戦闘バランスである。改変された文章のせいで誤解を与えてしまっているが、亡霊はFF8のようにプレイヤーに合わせて敵のレベルが変わるシステムではない。ポケモンのように、敵の種族は同じだが階層によってレベルが違う、というシステムになっている。そして、レベルの増加に対するステータスの変動幅が崩壊しているために、「終盤はエンカウントするとほぼ100%全滅を余儀なくされる」という異常事態になっているのだ。

○「敵が先制してきて全滅」について

これも正確な表現ではない。「Wizなら普通だろ」という意見があるが、確かに敵から不意打ちを受けて全滅することは、従来のWizにもある。しかし、その確率がおかしいからノミネートされているのだ。なのに、動画ではその辺が改変されているため、クソ要素が伝わらなくなっている。
通常Wizシリーズなら5%ほどの確率で敵が不意打ちしてくるため、運が悪いと全滅する。Wizプレイヤーの間では語り草になっている仕様だ。だが、「亡霊」は「不意打ち」状態にならなくても、敵の素早さが異常であるため、「こちらが先制攻撃をとれないかぎり」全滅するようにできているのだ。わかりやすく言うと、5%の確率で不意打ちされるのが従来のWiz。99%以上の確率で全滅するのが「亡霊」なのである。
この異常なまでの全滅率については、実際に検証した動画があるのでご参考いただきたい。

Pia4

これはあまりにも改変が多いため、「これのどこがクソゲーなんだ?」と思われたかたも多いのではないだろうか。かつて四八(仮)がそうであったように、Pia4をクソゲーたらしめた最大の要因はなにを置いてもシナリオにある。無論システム部分にも問題は多いのであるが、それらの多くは旧シリーズから受け継がれてきた「伝統」とも呼べる内容であり、訓練された修羅であれば乗り越えることは不可能ではないだろう
動画では「ミストさん」の一言で受け流されてしまったがゆえに印象に残らなかったが、このゲームでは主人公の言動がとにかく不快なのである。女の子の部屋に勝手に何度も押しかける、ストーカーまがいのことをやっていたり、一度は諦めかけた陸上競技に再び向き合うかと思いきやいつまでもダラダラと過ごしていたりと、そのような感情移入しがたい主人公であるという具体的な説明が総評にはある。それに加えて、恋愛が発展していく描写がお粗末なせいで、恋愛ゲームとして成立できていないのだ。総評ではそこが具体的に述べられているのに、動画ではバッサリカットされ、あたかもシステム面の不備だけがノミネート要因になっているかのようになってしまっている。
繰り返すが、Pia4においてシステム面での不備は、確かに大きなクソ要素ではあるのだが、あくまでも付録でしかない。パラメータ調節が理不尽だったり、フラグ管理が甘かったりするのは良くも悪くも伝統的な要素だからだ。。……いや、動画主もニコレポで主張している通り、伝統と言うよりは単に進歩がないだけともいえるのだが。
しかしながら、なにより、AVGの肝であるシナリオが根本から腐りきっているからこそのノミネートであるという事実が、動画では歪曲されている。動画主自身はシナリオよりもシステムの方に目が行っていたようだし、それはしかたのないことだとも思うのだが、しかし要点は変えないで欲しかった。

闘技場

非常にそれぞれの作品の特徴を捉えた戦闘になっている。しかし、戦闘の様子が実際のスレの流れと合っていないのは残念だ。
実際のところは、最後まで議論の俎上にのぼっていたのは亡霊、Pia4、誤当地の三本である。最終的には亡霊と誤当地の一騎討ちであり、ここの調節に何週間も要したのだ。
動画で真っ先に亡霊が倒されたのは「敵から先制攻撃を受けて全滅」という部分を映像化したものだと思われる。しかし、これでは「亡霊はそれほどクソではなかったんだね!」という誤解を視聴者に与えてしまう。「亡霊はDLCで復活した!」などの一文を添えるなどして、実際の審議になるべく近い形で再現して欲しかった。

まとめとして

随分とキツい言い方になってしまったが、率直に言って、動画自体は非常に面白いものであった。もう何回繰り返して動画を見たか、自分でもわからないくらいだ。これほど作りこんだ動画を投稿してくれた動画主には、心から感謝と尊敬の拍手を送りたい。
総評本文の改変には動画主自身思うところあったのだろう。しかし、総評の文章そのものには手を付けずにやってくれたら、きっともっと素晴らしい動画になっていただろうと思うのだ。改変を入れること自体を否定するつもりはないのだが、理由があって改変したのなら、そのように動画コメントに明記しておくべきだろう。ぜひご一考いただきたい。
(追記:ここを見たからではないだろうが、動画の投稿者コメントに改変を入れている旨が表記された。できれば原文へのリンクも貼ってほしかったが、むしろ本スレやWikiが荒れる原因にもなりかねないので仕方ないだろう。投稿者の迅速な対応に感謝したい)
今後もKOTYのさらなる発展……いやクソゲーはでないに越したことはないのだが……を願ってやまない。

以前に紹介した(と思う)「赤木剛憲がボクシングを始めたようです」という動画シリーズ。これは「はじめの一歩2 ビクトリアスロード」のおまけモードとして搭載された育成モードを用いたものである。

このモード、キャラゲーのおまけにしてはやたらと凝っているのだが、それもそのはずで、これは1995年に発売されたボクサー育成ゲーム「ボクサーズロード」の内容をベースにしているのだ。
その元祖「ボクサーズロード」を用いた東方有頂天シリーズがまた面白いので紹介。

さすがに1995年のゲームとあって非常にグラフィックは粗い。しかしそのぶんボクシングゲームとしては非常に力が入っており、ゲーム序盤は非常にもっさりした挙動なのだが、選手の成長にしたがって軽快なステップを踏みながら見ているだけで引き込まれる痛そうなパンチを繰り出す様は非常に熱い。のちに「はじめの一歩」シリーズがゲーム化されるにあたっても、そのシステムのほとんどがこのソフトを下敷きにしていることから考えても、この作品の完成度の高さが伺えるだろう。
本動画シリーズは「ブロントさんが霊夢たちと一緒にゲームをプレイしながらひとりの選手を育成していく」というもの。和気藹々とゲームをプレイするブロントさん一行の様子と並行して、ゲーム内部の世界でも選手たちの熱いドラマが繰り広げられていく。試合ごとにプレイヤーが変わるため、同じ選手でもまったく違うファイティングスタイルを見ることができる。スマッシュの霊夢、ストレートとショットガン(実はただの連打)の魔理沙、フットワークとジャブの文、腹パンボディブローの妹紅、オールラウンダーの華仙と、これらのスタイルを自在に使いこなすブロントさんといった具合であり、これにより単調になりがちなSLGプレイ動画にメリハリを与えている。

オンラインセッションについて調べてみることにした。
オンラインといえばIRCチャット等のツールを複数使う事が多く、少々導入が厄介な部分があったのだが、これひとつあればほとんどのTRPGはまかなえるという統合サイトがあるということなので、少し実験をしてみたいと思う。
 
どどんとふ公式サイト
http://www.dodontof.com/
 
↓実際のプレイの様子

どどんとふの説明書については
http://www.melonbooks.com/index.php?main_page=product_info&products_id=IT0000151638
こちらの「体験版」からモノクロ版をダウンロードできる。内容はほぼ製品版(カラー)と同じなので余裕があれば一読をお勧めしたい。

ロンドン滞在中の某氏が久々に食ったフィッシュアンドチップスがやっぱり微妙だった、という事を書いていたので、思い出したようにこれを貼る。

やる夫と食べるイギリス料理
http://snudge.blog38.fc2.com/blog-entry-1282.html

AA小説における名作中の名作、「やる夫で学ぶヴィクトリア朝のイギリス」の作者による作品。作者は文化人類学関係の研究職についているらしく、地道なフィールドワークによる考証に裏付けされた緻密な描写と、それを盛り上げる巧妙なストーリーテリングは健在。個人的に圧倒されたのが、産業革命期における食糧不足と劣悪な環境がイギリスにおける「料理」という文化の衰退を招いたのだ、とする大胆な仮説*1
「ジェイミーのスクールディナー」という、イギリスの給食問題を扱ったテレビ番組が有名だけど、そこでは給食費削減の煽りを受けて学校給食が安価なジャンクフードだらけになってしまい、結果として味覚が破壊されてしまった子供たちが次々と生まれている、という社会問題が映されていた。いくら何でもこりゃひどいってことで、自然食を中心にした献立に変えようとすると、その子供の親が猛反発。彼らの目には子供に無理矢理に自然食品を食べさせるのは虐待に映るようで、いわゆるモンスターペアレントかな? と思ったんだけど、どうも違うらしい。別の番組の企画でアメリカのとある町でも同様の食事改善をやろうとしたら、なんと親の代から料理の知識がまったく抜け落ちていたという。知識がないから出来合いのもので済ませるしか無く、しかも過当競争により安い加工食品しか手に入らない*2
つまり、親の代からそういう貧しい食生活しか送っていないため、ものの味というものがわからんというわけなのだ。上のやる夫小説の仮説通りだとすれば、イギリスという国はもう250年ちかくもそういう食生活を送っていることになるわけで……。
最近はEUの発足などもあって各国のうまい食べ物が入ってくるようになったというが、土着の食文化そのものは結局そのまんまなのかもしれないな。
 
しばらく動画紹介とかもやってなかったなーと思ったので貼っとこう。過去に載せた動画も重複しそうだけど気にしない。

三国志を題材にしたRPGってありそうでなかなか無いんだよなぁ。ストラテジーSLGが苦手な俺にとっては、こういうゲームがもっと増えてくれると嬉しいんだけど。1本あたり10分前後で内容たっぷりというテンポの良さがいい。

いわゆる箱庭育成ゲーム。一時期XBOX360本体とセット販売されていたので、知っている人も多いかもしれない。伊集院光がラジオでネタにしていて興味があったものの、洋ゲーということで敬遠していたんだけど、これは日本人にも受け入れやすいデザインではなかろうか。かわいい。

回を追うごとに技術力が上がっていく動画。原作そのものは非常にシンプルな作品だけに、序盤は手探りっぽいものの、方向性が定まってからの盛り上がり方がすばらしい。

エゥーゴティターンズ・連邦・民間のそれぞれの視点から混迷のグリプス戦役を追う大河ドラマ架空戦記。まだアクシズは登場していないのに、いやほんと、Ζガンダムってややこしい作品だなぁ。そこがいいんだけど。うp主が魔王エンジェルの大ファンとのことで、大変かっこいい麗華様が見られます。うっひょう。

*1:仮説としたのは、それだけでは地方の食文化まで衰退したのはなぜかわからないため。よくよく考えてみれば、サイダー(イギリスではリンゴ酒つまりシードルのこと)やスコッチなど地方によっては名産品もあるのだが。

*2:いつの間にか牛丼やハンバーガーが安っぽい料理の代名詞になってしまったように(ちゃんとした店の牛丼はうまいのだが……)、過酷な価格競争が品質の低下を招き、さらに売れ筋にならない食品は淘汰され、ますますバリエーションを乏しくしていくために、食べ物に対する選択肢がどんどん減らされていくのだ。

モバイルSNSゲームが儲かる本当の理由。かーずSPはなぜ15万もつぎ込んだのか?
http://togetter.com/li/255073

ふぅむ。要は「最初はすぐに出る、後になるとほとんど出ない」という射幸心を煽る仕組みを、確率論から導き出しているわけね。気がついたら戻れない、と。
パチンコの裏ロムみたいにいちいちプログラムで確率を操作する必要はなくて、最初からそういう心理状態に持っていくような設計をしておけばいいってことなのだな。
モバグリが拡大していく中で雨後のタケノコのごとく有象無象のソーシャルゲームが生えてきては消えて行ったりしているけど、成功するゲームにはちゃんとそれなりの設計がされているということだ。
それが果たしていいか悪いかと言われればそれは司法の判断に委ねたいと思うのだが(できるだけ早く法規制をかけて欲しいとは個人的に思うが)、こういう心理操作っていろんな所で応用が効きそうなのがすごいな。記事で言及されているとおり、モンハンのレア素材とか、普通のゲームにも盛り上げる要素として取り入れる価値はあるのかもしれない。
俺なりに要点をまとめると
?最初はすぐ集められるように思えても、後でダブりが発生するので確率はその都度変動する(プログラムで操作しているわけではなく、最初からそういう設計)
?TCGと違い、トレードなどの要素がないので、ダブったカードは事実上利用価値がない
?しかし、コンプリートすること自体が目的化するようにできている(特定のカードを一定の種類集めないとゲームが進まない、など)
 
昔の桃鉄にあった「も」「く」「て」「き」「ち」カードみたいな

「ユーザーが抱く不信感」を解消するために、バンナムは、コロムビアはどう動いたのか:アイマス2騒動をめぐる危機広報の考察
http://mayayajujitsu.blog108.fc2.com/blog-entry-287.html

バンダイナムコゲームスという会社の体質の問題点は、リスクマネジメントの概念を根本から履き違えていることにあるのではないかといつも思うのである。というか、この会社がやらかしている失態はほとんどすべてそれに集約されてしまうのが恐ろしいのである。完全版移植商法といい、アンロックキー販売DLC商法といい、謎の仕様変更にたいして一切フォローを入れようとしない最悪の企業対応といい……。おそらく短期的な利益だけを見て会社の方針を決定しているから、ブランドイメージの確立や維持といった中長期的な視点の欠如がすぐに発生するんだろう。
かつ、石原Dをはじめとする開発メインスタッフは自分の担当する分野(つまりゲーム部門)しか見えていないのに、自身にその自覚がないというのがもっとも深刻といえる。自覚がないから自分の担当部門こそがプロジェクトの全てだと錯覚をして、ひとりよがりな行動をはじめる。
メディアミックスをはじめとするプロジェクト全体を見渡す事のできる視点がないから、インタビュー等でも的はずれなことを言って顧客を混乱させたりするわけだ。各部門の連携がとれてないせいで、アニメ制作・販売会社やレコード会社、その他グッズメーカーに対して余計な負担を強いる結果を招いている。
プロジェクトの大黒柱たるべき部分が腐りきっていて、今にも崩れそうな楼閣の周囲を提携企業が必死で支えている状態に陥っている。なのに、誰もそれを直そうとしないから、ますます顧客が離れていくという悪循環を呼んでいるんだろう。



全国屈指の野菜農家や畜産農家と専属契約しているレストラン。内装も非常に美しく、調度品も一級。栄養バランスもよく健康的でありながら、価格はお手頃で老若男女を問わず幅広い客層をカバー。アイデアマンのオーナーはしばしば画期的な催し物を行いメディアとの連携も欠かさない。そんな夢のようなレストランではあるが、オーナーシェフの料理の腕は恐ろしく悪い。俺の中のレベルファイブってそういう会社。しかもこのオーナーシェフ、料理に向ける情熱は誰よりも篤くしかも凝り性だからやる気を出せば出すほどまずくなるという。
たまに外部からコンサルタントが来て腕のいいシェフを呼んでくると真価を発揮するんだけど、オーナーはあくまで自分で料理をつくることにこだわっている。はたしてそれがいいことなのか悪いことなのか。

たまりきったAGEをある程度消化したので感想を貼り。回を追うごとにモチベーションが減退しており、正直あんまりこの番組を見たいという気もちがなくなってきているので好きな人は読まないことをお勧めします。あと基本的に公式サイトなどは見ない方針なので、細かい設定等に誤解があるかもしれません。
 
第8話 決死の共同戦線
ガキの説得があったところで、数百年もつづいた両陣営があっさり和解するわけがない、という批判があるようだけど、少なくともあの対立はとっくの昔に形骸化してしまっているので、そもそもUEが来る以前に、きっかけさえあればいつでも抗争をやめられる状況にあったのではないかと推察する。これをカッチリやろうとすると何話あっても尺が足りなくなるので、とりあえずはこれでいいと俺は思う。この対立は子や孫の代には解決しているのか、それとも禍根は抱えたままなのか、という点については興味が尽きないのだが、レベルファイブのことだから次世代以降は対立そのものが「なかったこと」になるのだろうなぁ……。
それよりも、やはりどうしてもぬぐえない疑問は、コロニーの人口分布である。市街地は高層ビルが林立している、人口過密地帯であるにもかかわらず、街の外にはなーんにもない荒野がその何倍もの面積にひろがっている……これは、どういうことなのだろうか? イワーク一家を始めとする民衆は隔壁のスラムでの生活を強いられているのに、なぜ街の外に広がる広大な荒地を開拓しようとはしないのか?
これは、水や電気などのインフラが行き届いていないせいなのかもしれないのだが、せっかくデスペラードを持っているのだからあの荒野を切り開いて生活可能な環境を作るのもひとつの道筋だと思うぞ。
もうひとつは、あの荒野はテキサスコロニーのように日照のバランスが悪く、そもそも人が住めるようにはできてない、という理由だが……それだったらわざわざコロニーの外壁に土を盛る理由がわからんしなあ。あるいは、ザラム・エウバの抗争によるシガラミで思うように荒野を開拓できない、とかそういう政治的理由だったりするのか?

第9話 秘密のモビルスーツ
連邦が兵器削減政策を進めても、水面下では(違法行為であるにもかかわらず)MSの改造を行なっている闇鍛冶が存在する、ということなのだろうか。爽やかなおやっさん夫婦ではあるが、実態としては宇宙海賊にMSを流していたりしていたのでは? ともとれる、微妙な立ち位置ではある。そんな奴に勝手にMSを発注したウルフさんの艦内における立場っていったい……? グルーデックは脱走兵であり、クルーたちは新兵同然で規律もクソもあったものではないから、お咎めなしということなんだろうが……。
「UEのMS」という、UEの正体に肉薄しうる貴重な情報源があらわれた。つまり、あれひとつで単体の生命体というわけではなく、あれを第三者が動かしているのであって、あの機体は単なる兵器にすぎない、ということだ。それはあの機体をモニターしていたデシルの態度からも見て取れる。やっぱり人が乗っているのだろうか? だとすれば、これまでのフリットたちの戦いはすべてEDENによって仕組まれた、茶番ということに……。「それも私だ」というのはなるべくなら避けて欲しい所ではあるが、むむぅ。
しかし、おやっさんの描写はあれでいいのだろうか……?
これだけ貴重な情報を確保していながら、みすみす取り逃がしてしまったおやっさんの落ち度は大きい。鹵獲したばかりでろくに解析も進んでいないというような状況ならばともかく、「あやしい武器商人に渡され」「連邦との交戦記録を発見した」だけの余裕がありながら、いちばん検証が必要であろう部分はほったらかしなのか。せめて、「バカな!? 動力は完全に止めたはずなのに、なんで動いているんだ!?」とか、「人が乗っていた形跡はなかったはずだ! 遠隔操縦とでもいうのか!?」とか、そういうひとことさえあればまだフォローできたものを、肝心の描写があれでは「安全確認を怠ったばかりに、ドックに甚大な被害をもたらした」ということになってしまう。とばっちりを食ったエンジニアが気の毒である。


第10話 激戦の日
やりたいことはわかるんだけど、どうも納得が行かないのは見せ方がうまくないからなんだろうなぁ。クリシェに頼りすぎて、根本となる基礎的な描写の積み重ねを怠ったツケが回ってきているというべきか。
ドンの特攻には敵へのダメージがなくとも、足を引っ張り合っていたザラム・エウバ組や惰性で動いているディーヴァ組の意識を変えたという意味があるので無駄死にではない。ただそれがあまり評価されないのは、どうも意識の変化のしかたが機械的と言うか、「1か0か」しか無い典型的なゲーム世界の住民なんで、そこに感情を入れる余地が無いのが虚しさを募らせる原因になっているように思えるためだろう。
それは相変わらずやる気のないUEの行動にも現れている。『ドンを殺害する』という勝利条件を果たしたらステージクリアなので即時撤退しているようにしか見えない。ゲームなら許されることでも、映像メディアではそうもいかない。
ぶっちゃけ今回は語ることもあんまり無いのでこのへんで。

第11話「ミンスリーの再会」
もういい加減褒め殺すのも嫌になってきたので、全編にわたって毒を吐きまくることにする。ここからは遠慮なく行くぜ、覚悟しろよボンクラ共。まず監督! よくこれでおめおめとゴーサインが出せたな! ジャリ番なめてんのか! この番組からは監督のナルシシズム以外の何も感じないぞ! ついで脚本! ただただシチュエーションとイベントを並べてクリシェでつないでるだけで何の流れもできてねえ! どこをとってもぶつ切りだから人物が支離滅裂に動くように見えるんだ! もっと流れを意識しろこのゲーム脳! それから絵コンテ! セリフじゃなくて作画で魅せたいのなら場面にあった動きをさせろ! どいつもこいつも棒立ちで、なんのためにわざわざデフォルメしたキャラデザにしてんだ! それがリアリティだというならそんなもん捨てちまえ! そんないい加減な態度だから「強いられているんだ!」みたいなお間抜けな絵ができるんだ! どいつもこいつも何がやりたいのかまるで噛み合ってねえじゃねえか! ふざけんな!
ドンの死に、果たして自分の行動は正しかったのかと苦悩するフリット。え、いまさら!? 好意的に解釈をすれば、UEを倒すことに必死なあまり周りが見えていなかった彼が、ようやく周囲に目を向け始めた意識の表れと取れば良いのだろうけど……。その割にはエミリーとディスコミュニケーションが続くなあ。カミーユとファみたいに口喧嘩でもしてくれればまだマシだが、意図的に避け合ってるように見える。エミリー実はフリットのこと本気で嫌いだろ。なんかアムロから離れ始めた頃のフラウみたいになってるし、顔デカくんとくっついたほうが彼女的にも幸せになれるんじゃないか? その顔デカくんにいたってはもうフリットと口すらきいていない。あれでよく友達がつとまるな、顔デカくん。00の時は視聴率稼ぎのために何の必然性もない脇役が脈絡なく登場して話のテンポを損ねていたが、AGEでは逆にフレームアウトした人物は瞬時に冷凍保存されるらしく、画面外では一切何の行動もしないどころか、時間の経過すらないという怪奇現象が発生している。頭の中だけで作ってるのがまるわかりである。
自分が活躍できれば満足なウルフさんにはむしろ安心感を覚える。彼ぐらいシンプルなキャラクターならそれでいいのだが、軽い気持ちで反逆者になってしまったことに今更後悔しだしたクルーたちに対するフォローもしてやるべきだろう。やっぱりこいつら、ただの新兵かそうでなければこの間まで窓際族だったに違いない。ラーガンだけはまともっぽいが、それはグルーデックに反抗的だからそう見えるだけ。この番組においてはグルーデックこそ唯一の正義であり、その意味ではデス種期のラクス一派と同類。極めて悪質である。
そして、ディーヴァは中立コロニー『ミンスリー』へ。ところで、このコロニーは何にたいして中立なのだろうか。中立ということは敵対する二勢力があってはじめて成立しうるはずだが、現時点で交渉可能な勢力は連邦しかない。UEとは表向き交渉のしようがないのだから、連邦非加盟コロニー、もしくは独立コロニーと呼称すべきではあるまいか。難しいからあえて中立と呼んだのか、単にそこまで考えてないだけか。こういうところから設定の杜撰さが見え隠れする。
コロニーの描写は1stガンダムのサイド6というより、Ζガンダム屈指のキチガイ回「湖畔」を彷彿とさせる。お兄ちゃん!
ここでユリンが登場してくるあたり、実にイヤンな都合の良さが見え隠れしてくる。このタイミングの良さから言って、おそらくコロニーの主とEDENが陰でつながっていたりするのだろうな……。そもそも、声が西村知道ジャミトフ・ハイマン)氏というだけで裏があるような気がしてならない、というのはまあ仕方ないけれど、もう作画からして敵ですよオーラがでまくり。バレバレすぎる伏線か誰も気づかないようなのしかないのなこの番組。伏線っていうのは後でバラされたときに「ああ、そうだったのか!」と納得するものであって、視聴者に「気づいてよ〜」とアピールするものではない。それはミステリーとかサスペンスの仕事だ。
 そして、おそらく監督&シリーズ構成的には第一世代の名場面に使って欲しいシーン登場。挿入歌にスライドショーでユリンとの束の間の逢瀬と、ふたりのコミュニケーションを演出……になっているわけがねえだろ。いちばんやっちゃいけないところでいちばんやっちゃいけないクリシェ使いやがって。スライドショーの合間に挟まれる作戦会議っぽい絵もムダでしかない。だってその直後で会議の内容全部説明セリフでばらしちゃってんだもん。単なる二度手間だよこれ。かといって、ザラム・エウバ組との結束を描くシーンでもない。完全に無駄・無理・無意味の三拍子。あるいは、束の間の幸せを享受するふたりの裏に忍び寄る戦いの影、みたいなのを直喩しているとすればこれほどブサイクな描き方はないぞ。残ったのはダラダラと時間だけかけて決まった作戦がその程度かよ! というガッカリ感だけ。そんなもん描いてる暇があったら、他にやるべきことがあるだろ! 二人が仲良くなる横で寂しさを募らせるエミリーとかさぁ! 抗争以外の世界があることを知るザラム・エウバ組とかさぁ! 少しは顔デカくんも活躍させるとかさぁ! 00のゴロゴロ死体ソングの時にも思ったけど、安易に、しかも唐突に挿入歌を入れて「はいここ感動するところですよー」ってカンペを視聴者にみせつけるのは勘弁して欲しい。どうしてもそれをやりたいのなら、そこに至るまでの積み重ねをしないと逆効果にしかならない。ガンダムシリーズで挿入歌を有効活用できていたのは劇場版1stと∀だけだと俺は思うのだけど(人気のあるVとかΖとかは俺には失敗にしか見えない)、種ですら歌は使うべきところで使ってたぞ。だいいち、そのシーンはフリットとユリンがお互いどのような部分に惹かれたのか、それはエミリーとの想いとどう違うのかを明確に描写して見せなければ、このあとの展開に繋がらない。今回のスライドショーはただ紋切り型にシーンをつなげただけで、そこに何の意味もなければ必然性もない。セリフを使わなかったのは演出上の意図というより、単に挿入歌の宣伝のためだけにしか見えない。それならそれでもいいが、いちばんマズイのはただ単にふたりがじゃれあっている絵を並べているだけで、そこに上述したふたりの心の流れが一切見えないということ。出来ればそこはしっかりキャラクターに芝居をさせて、動きで見せて欲しかったところだが、止め絵を使うなら使うで、モンタージュ的にフリットの、およびユリンの心境が少しずつ変化していく様子を描くことだってできたはずだ。母の形見のガンダムを駆って戦場に出ることが生きがいになってしまっているフリットと、ニュータイプ的な能力を持つがゆえに不自由な生活を強いられてきたユリン、対照的なふたりだからこそどのようにして惹かれたのかを、きちんと段階を踏まえて描いてこそのドラマなのに、これでは噴飯物を通り越して不快ですらある。それだけは、それだけはやってはいけなかった!
そして追ってくる連邦軍。とっととその無能ニセ艦長を銃殺しろ。俺が許す。どうせ主人公補正でムリだろうけど。
 もう日本中で突っ込まれているだろうが、どうしても言わずにはいられないので指摘しておく。「なぜグルーデックと一緒に他のクルーも拘束しないのか」グルーデックと共謀している可能性や、仮にクルーがシロだったとしても彼に脅迫されている可能性だってあるだろうに。この番組に登場するキャラクターはことごとくツメが甘い。意図的にそう描いていると言うより、主人公サイドに都合よく事が進むようにそうしているのが透けて見えるからたちが悪いのだ。
 なんでボートで艦まで往復するよりも早くガンダムが来たのかについて、もはや一切の説明すら挟む気もないのはむしろ潔い。わざわざボートで来た意味を頭から否定している開き直り方は嫌いじゃない。もう、フリットが念じさえすれば月の裏側からでも飛んでくるのだろう。それならそれでいいよ、もう。
 そして通信機を取り上げ、ボートのコンピュータも破壊したはずなのに連絡をつけられる始末。グルーデックの無能ここに極まれり。ボートのコンピュータまで破壊するのなら、追手を船員素っ裸にしてそのへんの木にくくりつけておくぐらいのことはして当然だ。もちろん、ジェノアスに搭載されている通信装置もキッチリ壊した上で。
あえて好意的に解釈をするなら、わざと増援を呼ばせ、次の要塞戦に無理矢理巻き込むことでやる気のない連邦軍本隊を引きずりだそうという作戦ともとれるが、少なくとも今回の画面からはそのような意図は読み取れない。仮にそうだとしても、1stでコズンが奥歯に爆薬を仕込んでいたように、ディーヴァクルーが隠し持っていた通信機を見落としていた、と言った描写にすることで、ある程度のフォローも出来たんじゃないのか。
脚本以上にコンテがひどい。何一つとして、褒める所がない。


第12話 反逆者たちの船出
 いろいろと言いたいことはあるのだが、普段がひどすぎるせいか比較的まともに見える回。稚拙ながらも駆け引きらしいものはあったし。
 しかしやはりどうしても全体的に茶番臭さが抜けないのは、グルーデックの立てた作戦が一見緻密なように見えて実はただの行き当たりばったりになっているためだろう。あのタイミングで都合よくUEの攻撃があったから偶然にもグアバランが見逃してくれただけで、来なかったら結局拘束されていたのか? という疑問は今更拭いようがない。そもそもUEは正体不明意図不明なのを良い事に、あらゆる都合の悪さを押し付けられているワイルドカードと化しており、いわゆるデウス・エクス・マキナである。それ故にUEが出るとつまらなくなるという残念な結果をもたらしている。使徒みたいに正体不明であることが存在意義になってる連中ならまだしも、敵サイドを描かなかったことの弊害が現れているような。
 俺の予想では、「グアバラン艦隊から逃げ続け、UE要塞に先回りして後から追ってきたグアバラン艦隊を戦闘に巻き込む」ということになるんではないか、と思っていた。アダムスは怒りそうだが、連邦軍自身にやる気がない以上無理矢理にでも前線に引きずり出さないと今後の展開に繋がらないのでは? と。
 脚本の都合によって強さの変わるラーガン。今回は比較的強め。ウルフさんはせっかく乗り換えたというのにGエグゼスの見せ場があまりないのでやや不満。そしてXラウンダーとしての能力に目覚めはじめたフリット。偏差射撃っぽいことをやって(ビームライフルでそれは意味があるのか? という疑問はあるが、あえて突っ込むまい)それを描写するのはなかなか良いのでは。
 最初から作り手に人間描写をする気がないというか、キャラクターの内面を描くことに興味がないのはわかりきっているので、だったらヘタに背伸びしてやりたくもないストーリー展開をやらず、素直に戦闘メインの番組にしてとにかく戦いで盛り上げていくようにしていけば十分なんじゃないかな。