たまりきったAGEをある程度消化したので感想を貼り。回を追うごとにモチベーションが減退しており、正直あんまりこの番組を見たいという気もちがなくなってきているので好きな人は読まないことをお勧めします。あと基本的に公式サイトなどは見ない方針なので、細かい設定等に誤解があるかもしれません。
 
第8話 決死の共同戦線
ガキの説得があったところで、数百年もつづいた両陣営があっさり和解するわけがない、という批判があるようだけど、少なくともあの対立はとっくの昔に形骸化してしまっているので、そもそもUEが来る以前に、きっかけさえあればいつでも抗争をやめられる状況にあったのではないかと推察する。これをカッチリやろうとすると何話あっても尺が足りなくなるので、とりあえずはこれでいいと俺は思う。この対立は子や孫の代には解決しているのか、それとも禍根は抱えたままなのか、という点については興味が尽きないのだが、レベルファイブのことだから次世代以降は対立そのものが「なかったこと」になるのだろうなぁ……。
それよりも、やはりどうしてもぬぐえない疑問は、コロニーの人口分布である。市街地は高層ビルが林立している、人口過密地帯であるにもかかわらず、街の外にはなーんにもない荒野がその何倍もの面積にひろがっている……これは、どういうことなのだろうか? イワーク一家を始めとする民衆は隔壁のスラムでの生活を強いられているのに、なぜ街の外に広がる広大な荒地を開拓しようとはしないのか?
これは、水や電気などのインフラが行き届いていないせいなのかもしれないのだが、せっかくデスペラードを持っているのだからあの荒野を切り開いて生活可能な環境を作るのもひとつの道筋だと思うぞ。
もうひとつは、あの荒野はテキサスコロニーのように日照のバランスが悪く、そもそも人が住めるようにはできてない、という理由だが……それだったらわざわざコロニーの外壁に土を盛る理由がわからんしなあ。あるいは、ザラム・エウバの抗争によるシガラミで思うように荒野を開拓できない、とかそういう政治的理由だったりするのか?

第9話 秘密のモビルスーツ
連邦が兵器削減政策を進めても、水面下では(違法行為であるにもかかわらず)MSの改造を行なっている闇鍛冶が存在する、ということなのだろうか。爽やかなおやっさん夫婦ではあるが、実態としては宇宙海賊にMSを流していたりしていたのでは? ともとれる、微妙な立ち位置ではある。そんな奴に勝手にMSを発注したウルフさんの艦内における立場っていったい……? グルーデックは脱走兵であり、クルーたちは新兵同然で規律もクソもあったものではないから、お咎めなしということなんだろうが……。
「UEのMS」という、UEの正体に肉薄しうる貴重な情報源があらわれた。つまり、あれひとつで単体の生命体というわけではなく、あれを第三者が動かしているのであって、あの機体は単なる兵器にすぎない、ということだ。それはあの機体をモニターしていたデシルの態度からも見て取れる。やっぱり人が乗っているのだろうか? だとすれば、これまでのフリットたちの戦いはすべてEDENによって仕組まれた、茶番ということに……。「それも私だ」というのはなるべくなら避けて欲しい所ではあるが、むむぅ。
しかし、おやっさんの描写はあれでいいのだろうか……?
これだけ貴重な情報を確保していながら、みすみす取り逃がしてしまったおやっさんの落ち度は大きい。鹵獲したばかりでろくに解析も進んでいないというような状況ならばともかく、「あやしい武器商人に渡され」「連邦との交戦記録を発見した」だけの余裕がありながら、いちばん検証が必要であろう部分はほったらかしなのか。せめて、「バカな!? 動力は完全に止めたはずなのに、なんで動いているんだ!?」とか、「人が乗っていた形跡はなかったはずだ! 遠隔操縦とでもいうのか!?」とか、そういうひとことさえあればまだフォローできたものを、肝心の描写があれでは「安全確認を怠ったばかりに、ドックに甚大な被害をもたらした」ということになってしまう。とばっちりを食ったエンジニアが気の毒である。


第10話 激戦の日
やりたいことはわかるんだけど、どうも納得が行かないのは見せ方がうまくないからなんだろうなぁ。クリシェに頼りすぎて、根本となる基礎的な描写の積み重ねを怠ったツケが回ってきているというべきか。
ドンの特攻には敵へのダメージがなくとも、足を引っ張り合っていたザラム・エウバ組や惰性で動いているディーヴァ組の意識を変えたという意味があるので無駄死にではない。ただそれがあまり評価されないのは、どうも意識の変化のしかたが機械的と言うか、「1か0か」しか無い典型的なゲーム世界の住民なんで、そこに感情を入れる余地が無いのが虚しさを募らせる原因になっているように思えるためだろう。
それは相変わらずやる気のないUEの行動にも現れている。『ドンを殺害する』という勝利条件を果たしたらステージクリアなので即時撤退しているようにしか見えない。ゲームなら許されることでも、映像メディアではそうもいかない。
ぶっちゃけ今回は語ることもあんまり無いのでこのへんで。

第11話「ミンスリーの再会」
もういい加減褒め殺すのも嫌になってきたので、全編にわたって毒を吐きまくることにする。ここからは遠慮なく行くぜ、覚悟しろよボンクラ共。まず監督! よくこれでおめおめとゴーサインが出せたな! ジャリ番なめてんのか! この番組からは監督のナルシシズム以外の何も感じないぞ! ついで脚本! ただただシチュエーションとイベントを並べてクリシェでつないでるだけで何の流れもできてねえ! どこをとってもぶつ切りだから人物が支離滅裂に動くように見えるんだ! もっと流れを意識しろこのゲーム脳! それから絵コンテ! セリフじゃなくて作画で魅せたいのなら場面にあった動きをさせろ! どいつもこいつも棒立ちで、なんのためにわざわざデフォルメしたキャラデザにしてんだ! それがリアリティだというならそんなもん捨てちまえ! そんないい加減な態度だから「強いられているんだ!」みたいなお間抜けな絵ができるんだ! どいつもこいつも何がやりたいのかまるで噛み合ってねえじゃねえか! ふざけんな!
ドンの死に、果たして自分の行動は正しかったのかと苦悩するフリット。え、いまさら!? 好意的に解釈をすれば、UEを倒すことに必死なあまり周りが見えていなかった彼が、ようやく周囲に目を向け始めた意識の表れと取れば良いのだろうけど……。その割にはエミリーとディスコミュニケーションが続くなあ。カミーユとファみたいに口喧嘩でもしてくれればまだマシだが、意図的に避け合ってるように見える。エミリー実はフリットのこと本気で嫌いだろ。なんかアムロから離れ始めた頃のフラウみたいになってるし、顔デカくんとくっついたほうが彼女的にも幸せになれるんじゃないか? その顔デカくんにいたってはもうフリットと口すらきいていない。あれでよく友達がつとまるな、顔デカくん。00の時は視聴率稼ぎのために何の必然性もない脇役が脈絡なく登場して話のテンポを損ねていたが、AGEでは逆にフレームアウトした人物は瞬時に冷凍保存されるらしく、画面外では一切何の行動もしないどころか、時間の経過すらないという怪奇現象が発生している。頭の中だけで作ってるのがまるわかりである。
自分が活躍できれば満足なウルフさんにはむしろ安心感を覚える。彼ぐらいシンプルなキャラクターならそれでいいのだが、軽い気持ちで反逆者になってしまったことに今更後悔しだしたクルーたちに対するフォローもしてやるべきだろう。やっぱりこいつら、ただの新兵かそうでなければこの間まで窓際族だったに違いない。ラーガンだけはまともっぽいが、それはグルーデックに反抗的だからそう見えるだけ。この番組においてはグルーデックこそ唯一の正義であり、その意味ではデス種期のラクス一派と同類。極めて悪質である。
そして、ディーヴァは中立コロニー『ミンスリー』へ。ところで、このコロニーは何にたいして中立なのだろうか。中立ということは敵対する二勢力があってはじめて成立しうるはずだが、現時点で交渉可能な勢力は連邦しかない。UEとは表向き交渉のしようがないのだから、連邦非加盟コロニー、もしくは独立コロニーと呼称すべきではあるまいか。難しいからあえて中立と呼んだのか、単にそこまで考えてないだけか。こういうところから設定の杜撰さが見え隠れする。
コロニーの描写は1stガンダムのサイド6というより、Ζガンダム屈指のキチガイ回「湖畔」を彷彿とさせる。お兄ちゃん!
ここでユリンが登場してくるあたり、実にイヤンな都合の良さが見え隠れしてくる。このタイミングの良さから言って、おそらくコロニーの主とEDENが陰でつながっていたりするのだろうな……。そもそも、声が西村知道ジャミトフ・ハイマン)氏というだけで裏があるような気がしてならない、というのはまあ仕方ないけれど、もう作画からして敵ですよオーラがでまくり。バレバレすぎる伏線か誰も気づかないようなのしかないのなこの番組。伏線っていうのは後でバラされたときに「ああ、そうだったのか!」と納得するものであって、視聴者に「気づいてよ〜」とアピールするものではない。それはミステリーとかサスペンスの仕事だ。
 そして、おそらく監督&シリーズ構成的には第一世代の名場面に使って欲しいシーン登場。挿入歌にスライドショーでユリンとの束の間の逢瀬と、ふたりのコミュニケーションを演出……になっているわけがねえだろ。いちばんやっちゃいけないところでいちばんやっちゃいけないクリシェ使いやがって。スライドショーの合間に挟まれる作戦会議っぽい絵もムダでしかない。だってその直後で会議の内容全部説明セリフでばらしちゃってんだもん。単なる二度手間だよこれ。かといって、ザラム・エウバ組との結束を描くシーンでもない。完全に無駄・無理・無意味の三拍子。あるいは、束の間の幸せを享受するふたりの裏に忍び寄る戦いの影、みたいなのを直喩しているとすればこれほどブサイクな描き方はないぞ。残ったのはダラダラと時間だけかけて決まった作戦がその程度かよ! というガッカリ感だけ。そんなもん描いてる暇があったら、他にやるべきことがあるだろ! 二人が仲良くなる横で寂しさを募らせるエミリーとかさぁ! 抗争以外の世界があることを知るザラム・エウバ組とかさぁ! 少しは顔デカくんも活躍させるとかさぁ! 00のゴロゴロ死体ソングの時にも思ったけど、安易に、しかも唐突に挿入歌を入れて「はいここ感動するところですよー」ってカンペを視聴者にみせつけるのは勘弁して欲しい。どうしてもそれをやりたいのなら、そこに至るまでの積み重ねをしないと逆効果にしかならない。ガンダムシリーズで挿入歌を有効活用できていたのは劇場版1stと∀だけだと俺は思うのだけど(人気のあるVとかΖとかは俺には失敗にしか見えない)、種ですら歌は使うべきところで使ってたぞ。だいいち、そのシーンはフリットとユリンがお互いどのような部分に惹かれたのか、それはエミリーとの想いとどう違うのかを明確に描写して見せなければ、このあとの展開に繋がらない。今回のスライドショーはただ紋切り型にシーンをつなげただけで、そこに何の意味もなければ必然性もない。セリフを使わなかったのは演出上の意図というより、単に挿入歌の宣伝のためだけにしか見えない。それならそれでもいいが、いちばんマズイのはただ単にふたりがじゃれあっている絵を並べているだけで、そこに上述したふたりの心の流れが一切見えないということ。出来ればそこはしっかりキャラクターに芝居をさせて、動きで見せて欲しかったところだが、止め絵を使うなら使うで、モンタージュ的にフリットの、およびユリンの心境が少しずつ変化していく様子を描くことだってできたはずだ。母の形見のガンダムを駆って戦場に出ることが生きがいになってしまっているフリットと、ニュータイプ的な能力を持つがゆえに不自由な生活を強いられてきたユリン、対照的なふたりだからこそどのようにして惹かれたのかを、きちんと段階を踏まえて描いてこそのドラマなのに、これでは噴飯物を通り越して不快ですらある。それだけは、それだけはやってはいけなかった!
そして追ってくる連邦軍。とっととその無能ニセ艦長を銃殺しろ。俺が許す。どうせ主人公補正でムリだろうけど。
 もう日本中で突っ込まれているだろうが、どうしても言わずにはいられないので指摘しておく。「なぜグルーデックと一緒に他のクルーも拘束しないのか」グルーデックと共謀している可能性や、仮にクルーがシロだったとしても彼に脅迫されている可能性だってあるだろうに。この番組に登場するキャラクターはことごとくツメが甘い。意図的にそう描いていると言うより、主人公サイドに都合よく事が進むようにそうしているのが透けて見えるからたちが悪いのだ。
 なんでボートで艦まで往復するよりも早くガンダムが来たのかについて、もはや一切の説明すら挟む気もないのはむしろ潔い。わざわざボートで来た意味を頭から否定している開き直り方は嫌いじゃない。もう、フリットが念じさえすれば月の裏側からでも飛んでくるのだろう。それならそれでいいよ、もう。
 そして通信機を取り上げ、ボートのコンピュータも破壊したはずなのに連絡をつけられる始末。グルーデックの無能ここに極まれり。ボートのコンピュータまで破壊するのなら、追手を船員素っ裸にしてそのへんの木にくくりつけておくぐらいのことはして当然だ。もちろん、ジェノアスに搭載されている通信装置もキッチリ壊した上で。
あえて好意的に解釈をするなら、わざと増援を呼ばせ、次の要塞戦に無理矢理巻き込むことでやる気のない連邦軍本隊を引きずりだそうという作戦ともとれるが、少なくとも今回の画面からはそのような意図は読み取れない。仮にそうだとしても、1stでコズンが奥歯に爆薬を仕込んでいたように、ディーヴァクルーが隠し持っていた通信機を見落としていた、と言った描写にすることで、ある程度のフォローも出来たんじゃないのか。
脚本以上にコンテがひどい。何一つとして、褒める所がない。


第12話 反逆者たちの船出
 いろいろと言いたいことはあるのだが、普段がひどすぎるせいか比較的まともに見える回。稚拙ながらも駆け引きらしいものはあったし。
 しかしやはりどうしても全体的に茶番臭さが抜けないのは、グルーデックの立てた作戦が一見緻密なように見えて実はただの行き当たりばったりになっているためだろう。あのタイミングで都合よくUEの攻撃があったから偶然にもグアバランが見逃してくれただけで、来なかったら結局拘束されていたのか? という疑問は今更拭いようがない。そもそもUEは正体不明意図不明なのを良い事に、あらゆる都合の悪さを押し付けられているワイルドカードと化しており、いわゆるデウス・エクス・マキナである。それ故にUEが出るとつまらなくなるという残念な結果をもたらしている。使徒みたいに正体不明であることが存在意義になってる連中ならまだしも、敵サイドを描かなかったことの弊害が現れているような。
 俺の予想では、「グアバラン艦隊から逃げ続け、UE要塞に先回りして後から追ってきたグアバラン艦隊を戦闘に巻き込む」ということになるんではないか、と思っていた。アダムスは怒りそうだが、連邦軍自身にやる気がない以上無理矢理にでも前線に引きずり出さないと今後の展開に繋がらないのでは? と。
 脚本の都合によって強さの変わるラーガン。今回は比較的強め。ウルフさんはせっかく乗り換えたというのにGエグゼスの見せ場があまりないのでやや不満。そしてXラウンダーとしての能力に目覚めはじめたフリット。偏差射撃っぽいことをやって(ビームライフルでそれは意味があるのか? という疑問はあるが、あえて突っ込むまい)それを描写するのはなかなか良いのでは。
 最初から作り手に人間描写をする気がないというか、キャラクターの内面を描くことに興味がないのはわかりきっているので、だったらヘタに背伸びしてやりたくもないストーリー展開をやらず、素直に戦闘メインの番組にしてとにかく戦いで盛り上げていくようにしていけば十分なんじゃないかな。