特撮好きな知人に誘われて仮面ライダーWの映画を見に行ったのだった。基本設定を別の知人から聞いていた程度の知識しかない俺は子供の付き添いできたお父さんのような気分で映画館に入ったのだが、終わってみればお父さん大満足! 俺の求めていた特撮がここにあった、とも言うべきすばらしい内容だった。こういうシンプルさと熱さが俺の趣味と絶妙にマッチしているんだな。日本映画の汚点のひとつである「なんちゃってCG」もようやく鑑賞に堪えるクオリティにまで達したといえる。長い長い道のりであったが……。




蒲田行進曲 [DVD]

蒲田行進曲 [DVD]

先日深夜放送でやっていたものを録画。蒲田という街は何かと縁があって、その関係でタイトルに惹かれて見たら蒲田あんまり関係なかったw 映画化の際の脚色の関係でそうなったようなんだけど。
我侭なスター俳優と卑屈な大部屋俳優、愛すべき二人のダメ男の奇妙な友情と、そのふたりに振り回され、かと言って二人から離れることもできない落ち目の女優が織り成すこれまた奇妙なの三角関係を描いた話。女がダメに見えてしまうのはこんなダメ野郎共からはさっさと逃げちまえよと歯がゆく思ってしまう現代っ子的な感覚が俺にあるからだろうか?
上で述べたとおりストーリーの基本線はけっこうドロドロしているんだけど、そこへ映画撮影所を舞台にすることでメタ的な視点を取り入れ(しかもラストシーンまでこれが一貫している)、さらに人物をこれでもかというくらいにデフォルメしてコメディという体裁を作った上で陰鬱になりすぎないようにして観客を引き込むテクニックの妙はさすが名作と言われるだけのことはある。風間杜夫平田満のクサ過ぎる芝居がまたメタっぷりに拍車をかけており、一種の爽やかささえ感じさせる。それでも、キャラクターとしての本質はあくまでもダメ人間であるから、どう転んでもトラブルは招くし、そこに深作欣二の隠しきれ無いバイオレンスっぷりが加わる。臨月の腹を蹴ったりするし、この辺り好みは分かれるか? 奇妙な三角関係がもたらした生活の変化が、失いかけていた夢を取り戻させる。それが巡り巡って、逃げ続けてきた自分のダメっぷりを直視し、自分の夢と現実に葛藤するきっかけをつくる。その結果周囲の人間達に対して色々と迷惑をかけちゃうのがダメ人間のダメ人間たるゆえん。その辺に愛を持って見られる人にはおすすめしたいかもしれない。逆にダメ人間なんぞ見たくないという生真面目な人には向かないかもしれぬ。
映画はHDDの容量を食うからちょっと敷居が高いのだけど、テレビを通じて様々な映画と触れ合えるようになったのはTorneを買って良かったと思わせるポイントかも知れない。
それにしても、水曜シアター9が終了し、金曜ロードショーは自社制作作品ばかりを放映するようになるなど、今のテレビ局には映画の放映権を買うお金さえ無いのか? と思うとちょっと深刻に思わざるをえない。まぁ、その金曜ロードショーも太田総理を終了して最大4時間まで拡張できる体制を作るというから、まだまだ逆転の余地はあると思いたいが。