ディーヴァ乗員無能説をむりやりこじつけてみる

ディーヴァ乗員がとても軍人とは思えないほど緩みきっている、という批判が強く出ているようだ。まぁ、たしかにフリットやウルフのフリーダムすぎる行動に対して、何のお咎めも無いところから見るに、軍規と呼べるものが存在するかどうかすらあやしい、という批判はあってしかるべきだろう。
まぁ率直に言ってしまえば、それはレベルファイブに「オトナ」を描写する技量が欠如しているからなのだが、それではアニメを作っているサンライズの立場がない。そこで、彼らは一体どういう連中なのかを考えてみる。ここまでの描写を元に俺が立てた独自解釈なので、今後の展開次第では覆るかもしれない。
まず、地球連邦軍。これは、宇宙世紀シリーズのそれとは全く異なる組織である。
宇宙戦国時代が終わり、兵器としてのモビルスーツはそのほとんどを破棄。世界は軍縮へと向かった。これが銀の杯条約である。これにより、地球連邦は公式な「戦力」を持てなくなった。ガンダムWの最終回以降や、Gガンダムの世界でもしガンダムファイトが行われなかったら? という状況を想像してみるのがわかりやすいだろう。
それから数十年。戦争というものの記憶は、すでに多くの人々から失われつつあった。無論、その影では、ドン・ボヤージのようなマフィアや旧軍の残党による小競り合いが散発的に続いてはいたが、世界はおおむね平和であった。地球がかりそめの平和を謳歌していた時、それは現れた。アンノウン・エネミー。その目的も構成も、人間であるかどうかすら不明の謎の存在だ。地球連邦はこれに対抗するため、封印されていたモビルスーツ部隊を復活させ、新たに「地球連邦軍」を組織。UEへの対抗勢力とした。
さて。このような状況で、自分がコロニー市民だったとして、連邦軍に協力しようとするだろうか。最初のうちは積極的に彼らを支持しだしかたもしれない。だが次第に、UEは人里を積極的に襲おうとしているわけではなく、むしろ軍事基地のある場所を集中的に狙おうとしているのだということがわかってきたとしたら、どうだろう。連邦軍を厄介者に思い始めはしないだろうか? ザンボット3の香月のように、むしろ彼らに恨みを抱き始めるかもしれない。そもそも、軍というものの存在自体、過去の戦争の象徴でもある。連邦軍は、もともと市民たちからはあまり支持されていないのだ。
さらにここからは仮説に過ぎないが、連邦軍はそもそもUEに勝とうというつもりすら無い可能性がある。AGE世界の連邦軍は、UEという仮想敵がいてはじめて存在できる組織だ。つまり、仮にUEを撃滅せしめれば、彼らはその時点で自らの存在意義を失うことになる。となれば、可能な限りUEにとの無益な戦闘は避け、できるだけ延命に力を注ぐ。さらに、実質的な戦果は何も上げていないにもかかわらず、自らの存在意義を過大に宣伝し、あわよくば世論の支持をとりつけてより多くの予算を確保しようとするだろう。ウルフのような民間パイロットを積極的に引き入れているのも、おそらくは彼らの知名度を利用した宣伝工作が目的だろう。こうでもしなければ、連邦軍は自らの存在を維持できないのだ。グルーデックが「今の連邦は腐りきっている!」と吐き捨てた背景には、このようなものがあったと推測される。画面だけを見ていると、いつものお約束展開にしか見えないのだが。
さて、場所はかわってコロニー・ノーラである。ここでガンダムAGE-1とAGEビルダーの建造が行われていた。主人公、フリット・アスノが母から託された設計図を元に組み立てたものだ。
しかし、これは連邦軍の正規のプランに則った計画ではない。あくまでもフリットからガンダムの設計図を受け取ったブルーザー司令が、個人的に彼を支援しているにすぎない。連邦軍総司令部にしてみれば、これらは目の上のたんこぶなのである。なぜなら、連邦軍とUEとの戦力バランスが崩れ、均衡がやぶられてしまうからだ。どっちへ傾くにせよ、いったん戦力バランスが崩壊へむかえば、それまでの既得権益が大きく揺らぐことになる。
そこで、どうするか。新造艦ディーヴァが寄港してきた際のクルーたちを、素人同然の連中にしてしまえばいい。ポケ戦で、北極での任務に失敗したサイクロプス隊へのあてつけとしてバーニィを送り込むようなものだ。スタッフが役に立たなければ、ガンダム計画も遅々として進まず、結果として時間稼ぎにはなる。あとは、裏工作でもしてブルーザー司令を失脚させてしまえばすべてがおジャンというわけだ。おそらく、ディアン元艦長はそのための尖兵だろう。都合よくUEが攻めてきたので、あとはどさくさに紛れてガンダムを破壊してしまえばそれで連邦軍総司令部の目的は達成される。
つまり、ディーヴァの乗員たちは無能というより、最初から素人同然だった可能性が高いのだ。ブライトさんのいないホワイトベースのようなものである。ここでグルーデックがブライトさんばりのリーダーシップを発揮していけば、あるいは彼らも奮起して一人前の軍人に育っていくのかもしれないが、今のところその可能性は五分と五分、といったところだろう。
 
……むぅ、さすがに強引すぎたか。本編での描写が足りなさすぎるせいで苦しい妄想設定などを入れてでも補完しないとついていけないのだよねぇ。種のドロナワ設定もたいがいだけど、おそらく作ってあるだろう設定を入れられてないのも困りモノだわ。