ドラクエ珍説を提唱してみる

 ドラクエのシナリオってあんまり多くを語らずプレイヤーの想像に任せる部分が多いのでいろんな部分に関しての論争が今も絶えないのだけど、以降の作品によって生まれた後付け設定をもとに勝手に考察してみた。もちろん、穴だらけの珍説なので鵜呑みにしないで欲しいw
 
・3のアレフガルドが切れてる理由
 7のオルゴ・デミーラゾーマの設定を基本的に踏襲しているので、彼をヒントにするとわかりやすい。事実上の世界征服を成し遂げた数少ない魔王オルゴ・デミーラは、世界の各地方を文字通り「分割」し、手下の魔物たちに支配させていた。実際、過去ハーメリアで船に乗ると3のアレフガルドと同じ切れ方をする。ゾーマも彼と同じように世界を分割統治していたと考えると、アレフガルドのみを直轄地としてその他の大陸を配下(おそらくバラモス級の魔王)に任せていたのだろう。何しろ他の大陸は1の時代になって勇者が平定するまでほとんど未開の地だったのだ。むしろ、1の勇者がローレシア三国を建国できたのも、ゾーマの死後も世界各地を荒らし続けていたゾーマの手下たちを倒した功績を認められたからなのではなかろうか。高屋敷英夫氏による小説版では「蛮族を平らげた」という設定になっているが、「魔物を倒して王になった」というほうがドラクエ的にしっくり来る気がするのだ。
 
竜王の謎
 さらに、1の交響組曲CD(アポロンのやつ)のライナーノーツで、すぎやまこういち氏は「竜王は東方からやってきたというイメージでテーマ曲を作曲した」と語っている。これはすぎやま氏の創作なのか、1の制作当時に堀井氏から渡された裏設定なのかは不明だが、もしこの設定が成り立つとすると、上記の説と合わせてこんな想像もできる。ラダトームから東に進んでいくと、リリザを越えてちょうどローレシアのあたりにたどり着く。この辺を支配していたゾーマの部下が、何らかの理由でやってきた幼い竜王を悪の道に引きずり込んだのではないだろうか。勇者が竜王と手を組んだ場合「貴様には世界の半分、闇の世界をくれてやる」と言い放ったのは、いずれふたたびアレフガルドを暗闇の中にたたき落として、もう半分の世界である地上世界へ進出してやろう、という意味を含んでおり、その際暗闇のアレフガルドの統治はは貴様に任せよう、ということなのだろう。実際には勇者が竜王に下った時点でゲームオーバー(リメイク版では直前の街からやり直し)となるのだが、もしかすると、竜王を洗脳したゾーマの手下を配下に従えてアレフガルドに君臨したかもしれない。そのときは配下の魔王*1たちが支配する地域は「エビルローレシア」「デスサマルトリア」「ダークムーンブルク」などと呼ばれたりするのだろう(笑)。
 
・3のあと、勇者はどうなった?
 そもそも、3のエンディングで地上に帰れなくなるのは、単純に「地上のエンディングを作る容量が残ってなかった」からという可能性が極めて高い。残り数バイトも残っていなかったそうだし。ただし、この結末について、あくまでも設定的な部分に限定していえば、「地上に帰ったと考えてもいいし、アレフガルドにとどまったと考えてもいい」と堀井氏が明言している。両方を採用したのが漫画「ロトの紋章」だ。この漫画はギアガの大穴がふたたび開き、二つの世界を自由に行き来できるようになったという設定で描かれている。
 ここでもうひとつ、別の可能性を考えてみよう。「8」でまさかの再登場を果たした不死鳥ラーミア。同作品で、彼女は「次元の壁を越えて異世界へジャンプする」能力があることを語った。3と8の関係性を示す、ファン感涙のイベントだが、この設定には少々疑問が残る。「だったらなんで、ギアガの大穴を超えられなかったのか?」8での彼女の体格を見る限り、大穴をくぐれないほど巨大だったとは考えにくい。システム面からいえば、アレフガルドを飛ばれたら、ゲームバランスが崩壊してしまうからなのだが、設定上は別の理由があると考えるべきだろう。おそらく、ゾーマラプソーンのような強大な闇の力の前では空間跳躍もできないのだろう。8で影しか実体化出来なかったのも、この辺が関係していると思われる。さて、ゾーマが倒れたあと、地上に取り残されたラーミアはどうしただろうか? おそらくは神の命令にしたがい、新たな世界を求めて旅立っていったのだと考えられる。ここからは想像なのだが、この時、自分を目覚めさせた勇者に会いにアレフガルドへ立ち寄ったとは考えられないだろうか? アレフガルドにはルビスもいることだし、彼女から新たな神のお告げを聞くこともできるだろう。竜の女王の卵がアレフガルドに持ち込まれたのもこの時ではなかろうか。*2同じように地上に取り残された勇者の母親や、ルイーダの酒場に残された仲間たちを連れて、アレフガルドへ勇者を迎えに行く……そんな結末もあるかもしれない。

*1:この魔王に関して、これまた推測の域を出ないのだが、候補が何名か存在する。ひとつは、バズズ、アトラス、ベリアルの三悪神。もうひとつは、カカロン、バルバルー、クシャラミ、ドメディの4幻魔、そして彼らを統べる幻魔王マガルギである。とくに、幻魔たちは2の数百年後の世界において、かつてのローレシア三国とロンダルキアを守っていることから、1の時代に東征してきた勇者に敗れて改心し、各地方の守護神となったとも考えられるのだ。

*2:そしてこの卵が生き延びたゾーマの手下に奪われ、竜王となった……というのは俺の妄想である。