萌えアニメを見ないオタクが萌えビジネスを考察するとこうなる

 先日佐科異とだべったことをまとめました。萌え業界に関する学がまったくない人間の言う戯言なので、突拍子のないことばっか言ってると思う。

おもしろい必要は無い

 「アニメ作品自体のヒットを必要としていない」ということであるが、これはむしろ「アニメ作品自体のクオリティ=売り上げではない」といえるんじゃないかな。
 つまり、「アニメの出来がよかろうと悪かろうと、一定以上の知名度、話題性さえあれば見る奴は見る」、ということ。逆に言えば、視聴者側こそ「アニメ作品の出来の良し悪しは一切期待していない」、ということだ。

ライト層ってやつ

 これはどの業界にも言えることで、たとえば邦画やドラマなんかに顕著なんだけど、よく「有名俳優をつかって大規模に広告をぶち上げて強引に売り上げを伸ばす。作品そのものの出来はどうでもよい」というのがあるでしょう。あれと同じだと。こいつを視聴者の視点から考えてみればいい。こういう作品を見る層、っていうのは、「おもしろい作品を見たい」のではなく、あくまで「話のタネが欲しい」だけなんよ。だから、出ている俳優は出来るだけ有名なほうがいいし、知名度のある原作ならなおよい。原作改悪されてようが関係ない。だって、視聴者は原作を読みたいわけでもなければ、原作どおりのおもしろい話を見たいのではない。俳優を見て、その俳優をネタにして友達と話をしたいだけなんだから。こういうライト層が、いわゆるオタアニメ業界にも浸透していると考えればいい。
 たとえば感動的なエロゲがアニメ化されて、そのアニメがどうしようもなくひどい出来だったとする。で、こうした時何が起こるのかといえば、「感動的な話だというからいちど見てみたいが、エロゲにまでは手を出したくない」レベルの層は、エロゲに代わる代替案としてアニメを視聴する。んで、それをネタにして話をするわけだな。ここで重要なのは「別に感動したいわけじゃない」ということ。話のネタであればいいわけだから。グッズも買うかもしれんが、それにしたってグッズそのものが欲しいわけじゃなく、そいつをネタにしたいだけ、というわけだ。昔ならそういう人はエロゲ原作のアニメグッズをネタにするなんて恥ずかしくてとても出来たもんじゃなかったろうが、ネットの浸透によるコミュニティの細分化が成されたいま、そーいうモノを取り扱っているコミュニティに行けばいくらでも話が出来る。萌えオタが増えたというより、もともとライトな人間がこっちに流れてきたと考えられるわけです。逆に「原作はもっといい出来よ」ということをそのライトくんが知ったら、原作も買って二倍の売り上げってな話。
 逆に原作のファンは出来がよかろうと悪かろうと、アニメ化されたんなら見るわけよ(いわゆる信者と呼ばれるほどのコアなファンはともかく)。そういう層はアニメ版の出来が悪ければ悪いで盛り上がるし、一定以上の売り上げを達成してビッグビジネスになればなったで、グッズがたくさん出て嬉しいってな構造。
 ああ、バンダイキャラゲーとかもこういう発想ですね。クライマックスUCとか。

コミュニティ

 もひとつ、メディアミックス戦略については、二次創作系アマチュアリエーターの出現なんかもあげられるかもしれん。
 ネットの浸透によって情報を気軽に発信できるようになると、自分で作品を作りたくなってくる人も出てくる。しかしながらイチから世界やらストーリーやらをくみ上げるのはどだいムリな話、そこで有名作品の二次創作をやるわけだな。作った作品は自分の所属するコミュニティで発信するわけだ。こういう場合、どういう作品を下敷きにするのかといえば、出来る限り知名度のある作品であるほうが好ましい。誰もが知ってる作品が原作じゃないと、よんでくれない。しかも、この場合、原作がよい話である必要性は無い。「僕の○○たんはこんなこと言わない!」というのはよくあるジョークだが、元のキャラクターは薄いほうがよいのだ。「ツンデレ」「天然」「素直クール」とか、その単語から容易にキャラクターを想像できて、なおかつその範囲を逸脱しないキャラであることがよい。
 たとえば「アホ毛」。ふつうアホ毛の大半は寝癖であり、それをあえて直さずそのまま人前に出ている事を考えれば、そこから「自分の生活には執着しない、悪く言えばだらしのない人間」であることが想像されるが、ふつうそこまで細かく書いてあるキャラは出てこない。せいぜい「快活な性格」どまりである。だってそこまで細かく書いたら、自分が想像する余地がなくなっちゃうもん。要するに妄想の産物、という奴ね。
 
さてここで問題。「なぜ萌えアニメが気味悪がられるのか?」
 俺は「ブサ男が、空想の女性に自分にとって都合のよい妄想を押し付けて、オナニーに使っている図面が、画面から透けて見えるから」と見るが、いかがか。
 
 まとめると「ルナマリアのキャラが濃かったらこんなに売れなかったろうなァ」という話でした。
 
 ビジネスとしては非常にクレバーだと思うんだけど、所詮は守りの発想だし(あかほりや赤松などの先駆者は除くが)、一定以上の予算がないととても出来ることじゃない。えられる利益も一定どまりだし。だからマイナー嗜好のおいらなんかは到底その恩恵にあずかれんだろうな、と思うとさびしいしだい。