最近のRPGしか知らない人のためのFF3講座 その2

 前回は移植の背景について予想とともにお伝えしましたが、今回はFF3とはどういうゲームなのかご説明。

  FF3はシリーズでもっともドラクエに近いFFだと言われている。それは単純にジョブチェンジシステムがあるからという理由だけでなく、そのゲームスタイルが極めてプレイヤーよりになっているというところが大きい。近年のRPGに多い、テレビの中で繰り広げられる劇を眺めるタイプの受身型シナリオではなく、自分の足で世界の隅々まで歩き、自分で情報を集めて、怪しいと思ったところはマメにメモを取り、自分で次に進むべき目的地を発見するタイプの構造になっている。
 そして何よりも魅力的なのが、その絶妙な戦闘バランスであろう。FF3の魔法は従来のMP制ではなく、D&DWizardry、最近だと幻想水滸伝ポケモン同様の回数制となっている。魔法にはそれぞれクラスが設定されており、そのクラスに応じて魔法を使える回数が決まっているのだ。たとえば、ケアルとポイゾナはクラス1の白魔法で、使用可能な回数は共用。ただし、これらをいくら使っても、クラス2のエアロやクラス3のケアルラの回数には影響しない。逆もまた然りで、常に今後のことを考えながら計画的に魔法を使っていく必要があるのだ。
 FF1ではGBA移植に伴って廃止された回数制だが、今回のDS版移植では忠実に再現されている。はじめはその独特な仕様に戸惑うかもしれないが、慣れてくればその奥深い戦略性のとりこになるはずだ。
 MPといえば、もうひとつ重要なポイントがある。FF3はシリーズで唯一テントもコテージも登場しない(セーブポイントに触るだけで完全回復できる10と12は除く)。さらにおなじみのエーテルも出てこない。MPを回復する手段は、宿屋と回復の泉、そしてエリクサーのみっつしかないのである。不条理なように思われるかもしれないが、この制限のおかげで、緊張感のある戦闘と、戦略性のあるダンジョン攻略を楽しむことができる。初見でいきなりクリアできてしまうほど、FF3のダンジョンは甘くない。事前に回復アイテムをしっかり用意しておき、ムダなMPは極力使わないように気をつけながら、慎重に進んでいく。危なくなったときはテレポで脱出し、体勢を立て直して再チャレンジ。この繰り返しである。